「秋の高山祭」(八幡祭)が9、10日に迫った。岐阜県高山市の市街地に繰り出す豪華な祭り屋台の中でも、今年は「仙人台(せんにんたい)」がひときわ輝きを放ちそうだ。半世紀ぶりという大がかりな修理をほぼ済ませてよみがえり、戦後長く絶えていた生演奏のお囃子(はやし)が復活する。
秋に登場する国重要有形民俗文化財の屋台11台のなかでも、仙人台は江戸時代から伝わる唐破風の屋根を残す唯一の屋台。記録では、八幡祭が始まった1718(享保3)年に屋台「湯の花」として曳(ひ)かれたとされる。
2021年から高山・祭屋台保存技術協同組合の職人らが屋台を解体しての修理に入っていた。二十数年前に車輪を造り替えるなど一部を修理したが、本格的な修理は約50年ぶりだ。
傷んだ骨組みや彫刻、くすんだ飾り金具が修復された。漆は塗り直され、金箔(きんぱく)も張り直された。県外に修復を依頼していた胴幕や飾りの房も届き、3日に屋台蔵で取り付けられた。
修理の事業費は今年までで約4千万円。国や県、市の補助を得て、来年度に御簾(みす)を復元して完成するという。
輝きを増した仙人台。管理する仙人台組の保存委員、寺地亮平さん(67)は「明治、大正、昭和と、その時代を生きた人が保存に力を入れてきた。歴史の節目に関われてよかった」と屋台を見上げた。
コロナ禍による中止もあり、仙人台が祭りに登場するのは4年ぶりとなる。
仙人台組は今回、お囃子も復活させる。こちらは約70年ぶりという。
各屋台では町を曳く際にそれ…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル